今日はレジェンディア学園の学園祭。僕達のクラスは、メイド喫茶とかいうマニアックで常人受けしないような喫茶店になってしまった。僕自身、そういう気はないけれど、気になるのはスピカさんの事自身だった。文化祭と言えば、生徒の家族だけでなく、他校の生徒もたくさん来る。どうせアレの事だから、ふらふら付いていって…なんて事もあり得る。僕は厨房でケーキを作りながら、自問自答していた。


「ジェーくんっ」
「…何ですか?僕今ケーキを作っているんですけど。見てわかりませんか」
「わかるよ!もしかしてバカにしてるの?」


 スピカさんは受付もせずに、レースの付いたエプロン姿のまま、僕のところまでとことこやって来る。(しかも何でケモノの耳まで…?)僕が溜息まじりに相手をしていると、セネルさんが休憩に行っていい、と僕に声をかけてくれた。


「スピカさん」
「ん?」
「僕、休憩はいって良いそうなので、その、一緒に構内、見て回ります?」
「ほんとっ?行く行く!」


 犬のように付いて来るスピカさんに、苦笑詩ながら教室を出た。案の定校内には模擬店で賑わっている上、他校の生徒がやたらと目立った。


「他の学校の人、たくさんいるね」
「そうですね。ナンパに気をつけて下さいよ」
「ジェイ君がいるからへーきだよ!」


 そう笑う、スピカさんが愛しい。僕は小さく笑みを作ると、スピカさんの小さな手を握る。(まあ、邪魔者が来た所で、彼女は絶対に渡しませんけどね)


「おっ、かわいー子発見!ねー君達ってさあ、そこの喫茶店のコ達?」
「え、そうですよー」
「なあなあ、たくさん注文するから、後でお茶でもしねえ?」
「俺こっちの黒髪の子が好みー」


 は?ぼんやりとしていると、僕よりだいぶ背の高い、チャラチャラした奴等がスピカさんに声をかけていた。(いや、多分、僕も含まれているようだ。そして僕を女だと思っている)この腹立たしい自体に、スピカさんはへらへらとした表情を作っているだけ。


「行きましょう、スピカさん。」
「あっ、うん」
「お茶の件、遠慮させて頂きます」
「つれねーなー。ちょっとでいいからさあ」


 何だこいつら。僕が断りの言葉を入れると、そいつらはスピカさんと僕の手をひっ掴んだ。殺してやりたい。厨房から包丁を持って来れば良かったと、今更後悔する。


「汚い手で触らないでくれません?殺しますよ」
「おーおー、嫌がっちゃって!カワイー」


 僕の手も掴まれているし、身動きが取れない。僕は唯一使える足で奴等を蹴り飛ばそうと目論み、足を引き、蹴りの体制を作る。そこに、場違いな明るい声が響いた。


「この人は僕のも「はいはい、ストーップー」
「なっ!?放しやがれ!!」
「ええ?それはさあ、この子達放してからにしてくんない?この子達、俺の連れだから」
「…スペルくん?」
「チッ、男連れかよ!行こうぜ」


 そいつ等は、スペルの姿を確認すると悪態を付いてスピカさんと僕から離れて何処かへ行ってしまった。ぽかん、としていると、スピカさんがスペルさんに礼を言うのが見えた。


「ありがとうスペルくん。助かったよ〜」
「いーのいーの。気にすんなって。」
「余計なお世話ですよ。アレは僕1人でも何とかできた。首を突っ込まないで下さい」


 スペルさんが驚いたような顔をした後、意地悪くにやあっと笑って僕の頭をガシガシと掻き毟った後、何も言わずにカキ氷屋へと向かって行ってしまった。


「…何だったんだ、あの人」
「ジェイくん」
「はい?」
「ありがと、かっこよかったよー!」
「な、何言ってるんですか、貴女を助けたのはスペルさんで、」
「でも、助けようとしてくれた」
「…」
「あたしには、スペルくんよりも、ジェイくんの方が何倍もかっこよく見えるよ!」




お守りします、







死ぬまでは



(ジグ)