私は体をわななかせながら目の前に居るごろつき共を何度も眺める。私はただ、一人で夕飯の買い物をしていて、それで…。もう日も暮れるし、
何で気づかなかったんだろう。どんな街でも、日暮れ時が安全だとは限らないのに!
ごろつきの目的はきっと多分、お金。素直に差し出したら解放してくれるだろうか。するとごろつきは大声でがなり立て始めた。


「譲ちゃん、金が出せないならその目玉を売っても良いんだぜ」
「オッドアイってのは割りと高く売れるからな!」
「……っ、」


 この大声が、怖い。私は胸元で抱えた買い物袋をぎゅっと握るとある事を思いつく。ローラースニーカーで蹴飛ばせば、上手い具合に逃げれるかもしれない。私は足の速さだけは自身があったから。上手い具合にスニーカーからローラーの部分を出す。かちりと音がして、私は片足を少し後ろにずらすと、ごろつきを蹴り飛ばす体制に入った。一応、気づかれないように。気づかれたら、きっと、更にピンチになってしまう。するとその瞬間、聞きなれた声が私の耳に飛び込んできた。


「何してるんだ!」
「!?わ、ワツラフ…?」
「何だこのガキ!」


 視線を移せば、そこには見慣れた銀髪の少年。ワツラフはずんずんと私の近くに寄ってくると、すぐに私の手を取って、踵を返した。ごろつきの男達はそれが不快なのか、更に私たちにがなりつけ、追いかけようとしてくる。するとワツラフはぴたりと止まり、こう言い放った。


「ずるい事をして手に入れたお金は、すぐに消え去ってしまうって、お母さんが言ってたよ。おじさん」
「なっ…!」
「ワツラフ!?そんな事言ったら…!」
「しっ!今のうちに逃げよう!レスティルお姉ちゃん!」


 ワツラフは小声で口元に指を当てると、脱兎のごとく早い足取りで、私の手を引いて走り出した。男達が追ってくる気配はなかったけれど、どうしても後ろが気になって、何度か振り向いた。きつく握られた手が、熱い。そうでもしなきゃ、私は気を紛らわす事ができなかったから。つながれた手と一緒に熱くなっていく頬を、日暮れの冷たい風が撫でる。私はワツラフの小さくて、それでもたくましさが現れている背中を眺めながら走るしかなかった。






永遠に



下がらない微熱

「あ〜、怖かったね!」「えっ!あんなに威勢があったのに…」「ううん。ただ、レスティルお姉ちゃんを助けたくて」
「……あ、あり、っ、ありが、…ありがと、っ…」「わっ?!お姉ちゃん、何で泣いてるの!?」






(20070513)