が忘れられない。


「それ…痛くないですか?」
「は?」

 イヴのその小さな指が向いた方向は、俺の体の至る所にある生傷。
 俺はああ、と呟いて腕や肩を見る。
 こんなもの、もう今更だから気にもしなかったけれど、気になる奴は気になるのかもしれない。

「別に痛くねーよ。イヴちゃんはこの傷、気持ち悪いか?」

 悪い意味を込めたつもりはなかったのだけれど、つい何時ものクセで自嘲の笑みが含んでしまったかもしれない。
 けれどイヴは、いいえ、とにこりと笑って俺の手を取った。

「きもちわるくなんて、無いです。これはエスくんが強くなった証だから」

 (本当はこの傷を見る度に親父の顔を思い出して胸糞悪くなったけれど、今日だけは何だか少し違った)