小さい頃は、いつもすぐにわあわあと泣き出す子だったのに。
 小さい頃は、僕よりも小さくて、僕のうしろをついてあるく子だったのに。
 けれど最近のレスティルちゃんは、エスくんにからかわれて泣く事もなくなった。
 そして、いつの間にか僕よりも身長が高くなっていたことも。
 それが何だか子離れされた親のように複雑で、寂しかった。

「何してるの、レンゲ…?」
「別に、なんでもないけど、」

 そして此処はレスティルちゃんのおうちで、僕は今、レスティルちゃんの家のソファに腰かけている。
 キッチンから白いエプロンを下げたレスティルちゃんが顔を覗かせた。

「そうなんだ。あのね、ケーキを作ったよ。
 レンゲも、食べていく、でしょ?」

 返事はもちろん、うん、だ。
 だってレスティルちゃんの作るお菓子やご飯はおいしいから。
 (レスティルちゃんの母さんと比べたら凄くおいしいと思う)

「今日のケーキは何なの?」

 僕がすとんとソファから降りると、にこりと笑顔を作り、シフォンケーキ、と言った。
 それがくすぐったくて心地良いものだから、つい調子にのってしまったのかもしれない。
 レスティルちゃんはにこにこと笑顔のまま、オーブンのドアを開く。
 香ばしくて食欲をそそる匂いが部屋に香る。
 レスティルちゃんはケーキを適度に覚ました後、二つ切り分けて僕の所に持ってきた。

「ありがとう」

 白いお皿に乗っている狐色のケーキは見るだけで美味しそうで、今にもお腹が鳴りそうだった。
 するとレスティルちゃんはまた上手にケーキを切り分けて、箱に入れはじめる。
 その行動が理解できなくて、何しているのと聞いたら、レスティルちゃんはにこりと笑ってこう言った。

「これはイヴの分と、イヴとレンゲのパパとママの分だよ」






その心遣いが





何だか少し嬉しくて、





僕より数cm高い頭を





撫でてみた。


(オチ無し)