灰色の天井、薬とすえた匂いが充満している部屋。
 もう見慣れたはずの光景も、黒が視界を支配して、見えない。
 どうすれば、いいのか。
 闇の中で横たわっている私に(あたたかいのかも、つめたいのかも、わからなくて)
 不思議な声がかかった。


―汝が望むのであれば、その望みを叶えよう。その代わり、我の望みも叶えてもらおう


 もう、どうだってよかった。生きていられるのなら。
 幻聴かすらもわからない。いつからこんなに生に貪欲になったのか。
 次に、体を差し出せ、という囁きが聞こえてきた。別に構わない。生きていられるのなら。
 私は、力のはいらない腕を持ち上げて、闇の中に伸ばした。何も掴めない。ただ飲まれるだけ。
 けれど、宙で軽く手をにぎ知りしめると、そこから不思議な光があふれ出した。


 ―契約は完了した。
 汝の望みは、真の許しを得たり…