|
「ちゃん、ちょっと、話があるんだけど、」 今日もチャバは彼女の淹れた紅茶に砂糖を一つ入れて、かき混ぜながらそういった。目の前に座る彼女は、はあ、とまた気のない返事をする。(この子は本当に、自分の興味のあることしか目が向かないんだなあ)彼女と出会って、もうすぐ1ヶ月になる。色々考えた結果、想いだけでも告げてみようと思い立ち、数日が過ぎ、今日に至った。チャバは何故こんなに日が流れる程考えたんだと自分の小心者な性格を怨んだ。 「あのさ、ちゃんて、付き合っている人とか、いる?」 「いいえ。私、恋人居ない暦21年です。もうすぐ22年になりますね」 「え?今なんていった?」 「?恋人居ない暦21年です。変なこと言いました?」 「へ、へえ…お、オイラ、20歳なんだ」 「え、年下だったんですか。意外だなあ」 「もしかして、ちゃん付けよりもさん付けの方が、良かっ、た?」 「いいえ。年下扱いは慣れてますから。それに、さん付けはくすぐったいです。」 まさか。冷や汗が背中を伝った。ずうっと今の今まで年下扱いしてきた彼女だが、自分よりも年上だったなんて。チャバは視線を泳がしながら無意識のうちに紅茶の中に砂糖をぽいぽいと放り込んだ。そしてそのカップに口をつけた途端、あまりの甘さに眉を潜めた自分がいた。(何をしているんだ頭おかしいだろ!そもそも歳は関係ないだろ今は告白の話だろ!) 「ゲホッ、話を戻すけども、ええと、そのう、」 「そうでしたね。付き合っている人は居ません。 だから、恋愛相談とかには乗れませんよ」 「ええと、じゃあ、好きな人は、」 「それも居ません。チャバさんは?」 「居るよ。中々気付いて貰えないんだけどね」 「そうですか」 (そうじゃない!)案外鈍いんだなとチャバの頭にそれが過ぎる。チャバは徐々に背中が熱くなり、顔にも熱が集まるのがわかった。(もしかしたら麻痺して熱く感じてるだけかもしれないけど、)酷い甘さになった紅茶をまた口に含み、言葉を続ける。この緊張すると落ち着きがなくなる性格を本当にどうにかしたい。 「ちゃん」 「はい」 「好きです」 「はい。…へ?」 チャバと同じく紅茶を飲んでいた彼女の手が止まる。そしてはごめんなさい、もう一度お願いしますとぽかんとした顔で祈願した。きっと聞こえなかった訳ではない。理解していないだけなのだ。 「だから、ちゃんの事が、好きです」 「な、っ……ええっ?」 ようやくその言葉を理解したのか、は口を押さえて小さく叫んだ。それはもう見事に顔を赤くして。オイラと付き合ってくれませんか、と紅茶のカップを置きながら告げれば、え、だの、あの、だのええ、だのとしどろもどろになってしまっている。 「長期戦は覚悟してるんだ。だから、返事は今じゃなくてもいいよ?」 「あ、う、うーん…そのう、」 「どうしたの?」 「その、私、好きって言われたの、 初めて、なんで…どういったらいいのか、わからないん、だけど、」 ありがとう、と小さな口がそう紡いだ。告白されて礼を言われるのは初めてだ。今まで何度か女遊びはしたことがあるけれど、そこでようやく気付いた。女達が言っていた、あの言葉。 『好きじゃなくてもいいから、付き合って』 どうしても手に入れたいと思った子は、これが初めてだと思うとどうしても気恥ずかしくなる。オイラの傍にいて。オイラを見て。オイラを好きになって。チャバは唇を結ぶとその腕に彼女を閉じ込めた。以前、支えた時と同じ、小さくて甘い匂いがした。抱きしめる力を強めれば、の間抜けに呼ぶ自分の声。 「ちゃ、チャバさん!?」 「やっぱり、待てないかも」 「え…?」 「オイラの事、嫌い?」 「嫌いじゃ、ないですよ。…む、しろ、」 その言葉にじゃあ、付き合ってくださいと告げれば、彼女はまた一層顔を赤くして口をぱくぱくとさせた。まるで水から引き上げられた魚のようで。それさえも可愛らしく見えてしまう。(ああ、オイラは末期なんだ。頭おかしすぎる)すると、チャバの背中にそうっと回される白くて細い腕。彼はもう耐えられないといわんばかりに彼女の額に唇を落とし、こういった。 「好きだよ」 見つめ合って照れて笑って (とりあえず両想いED…?一応ここで完結です。 そのうち同じヒロインで短編を書くかもしれないです。 ここまで読んでくださって有難うございました!/20070409) |